眠れない夜の為に-チープな 午後3時-

初めての関東暮らし、町歩き、出逢いを記録しておきたい

僕と音楽と出来事と ( 1 )スターダスト・メモリー

1.スターダストメモリー(1-1)


生温かさの質が違う、そう思った

毛布の温かさとは明らかに違う

 


夜半過ぎの薄暗い室内でボヤけた

頭を動かそうとしてみる

息を潜め、その生暖かさの正体を

見極めようと重い瞼と格闘し、もがく


おかしい。

息を潜めている筈なのに

何処からか息が漏れている

すうーっと軽い規則音が往復しており

それは自分の身体にインプットされている

いつものリズムとは異なっていた


いよいよ恐ろしいような気分になり

咄嗟に上半身を起こそうとして

やっと、身体が何かに強く押さえつけ

られている事に気がついた

 

なんだ?


僕の腕の中にはMが居た

いつの間にか自分のベッドから

こちらに潜り込んで来て

ちゃっかり人の腕を枕に眠りこけている

 

ホッとしつつ、妙に甘く懐かしい気分に

おそわれる


昔はよくこうして眠った

それが当たり前のことであり

鼓動と体温がお互いの子守唄だった

いや、大人なのに子守唄はおかしいな


そんな事を思いつき、暗闇にフッと

息を漏らす


寝顔に目を遣るが髪が顔を隠し

よく見えない

ただ丸くなって寝息をたてているその

シルエットは子供のようだと思った

 


そっとベッドを抜け出して

ベランダに出てみる

初秋の夜風が気持ちよく汗を冷やしていく

月のない夜空には星が無数に瞬いて見えた

この街に来てこんな風にあらためて星空を

眺めたのは初めてだ

星たちは時に輝きながら僕を照らし、時に

冷たく蒼い光で僕を見つめ、時々は無数に

降り注いで祝福を与えてくれる

 

いつだって、僕の頭上には数え切れない

星たちが緩急と起伏に富んだ音楽の為の

楽譜のように広がっていて、僕の人生に

様々な音楽を鳴らしているのだ

 


Mが生まれた頃、星空の譜面は

どんなメロディを奏でていたのだろう

 

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あの時代。

中森明菜がミ・アモーレでレコード大賞を受賞し

松田聖子郷ひろみと生まれ変わったら

一緒になろうと誓い合い、舌の根も乾かぬうちに

神田正輝と結婚した頃だ


不倫妻たちは恋に落ちて

romanticが止まらなかった 

飾りじゃないのよ涙はと言った

あの娘とスキャンダルを起こしたくて、

二人の夏物語を過ごしたけれど、

常夏娘は

セーラー服を脱がさないで

言うものだからその

にくまれそうなNEWフェイスの向こうの

あなたをもっと知りたくて

おら東京さ行ぐだとやって来た

六本木で心中の噂を聞きつけ、

もう逢えないかもしれないと嘆き、

そして僕は途方に暮れる。

 

神様ヘルプ!と祈りを捧げ

翼の折れたエンジェルとすれ違った街角で、

ラッキー・チャンスをもう一度と願っていた、

あの時代。

 

Mは知らないだろう、過去の物語。

いつも傍らには音楽があり、毎日は事件に

溢れていて、僕はまだ若く、はからずも

訪れた恋のコンフューズの中にいた

 

 

 

(つづく)